それで、彼女が低い声で理由を語ってくれました。
彼女が友達になりたがっていた作家さんを、横から私が奪う形で友達になってしまったこと。
誰にでもにこにこするのが気に入らないとか。・・・・言われて、痛い事もありました。
言われないと自分が悪かったってこと、分からなかったりするじゃないですか。
ただ怖いのは彼女が言う理由は全部、「私が○○のはずだったのに」と、あくまでも自分が最優先なんですね。正義なんです。
「・・・だって、殺しちゃったら私、犯罪者だもの・・・。でも、あなたが悪いのよ。全部あなたが悪いの。分かる?」
彼女のその時の目、もう鬼火が光ってるようでした・・・・。
怖くて、恐ろしくて、もう息も止まってたんですが、その時またドアが叩かれて。
のろのろ彼女とドアの方を見たら、友達の声が!
返事がないのを不審に思ったのでしょう。もう一回叩いてくれて、思わず私の口をふさごうとした彼女の手を振り払って今度こそ
「助けて!」
って叫びました。
それで彼女を振り払ってドアに飛びついたんですが、どうしてもチェーンが外せ
なくて。ただカギだけは開いたから、その隙間から友人の顔が見えたときは本当にうれしかった・・・!!!
もう、この友人に私の言ってることが信じてもらえなくてもよかったんです。
この場に来てくれたことが、本当に死ぬほどうれしかったんですよ。
もうぼろぼろに泣いてる私と、その私を諌めようとしてた彼女の様子がおかしいことにやっと気がついてくれたのだと思います。
見る見る彼女の顔から笑顔が消えて、
「香葉さん・・・。どう言うことなんですか?」
そう言ったときに、やっとチェーンが外れてくれました。
友達が入ってきてくれた瞬間、もう飛びついて泣く私におろおろしながらも、友人がその彼女を見て言ってくれたんです。
「絶対、なんか・・・香葉さんの方が怖いよ。なんなの?なにがあったの?なんでこの子こんな泣いてるの!?」
歯の根が合わなくて、ただ泣くだけで私はほとんどなにも言えなかったんですけど、多分私の状態や部屋の様子で
なにかおかしいって思ってくれたみたいなんです。部屋の床にまだ生肉が落ちてたりしたし。
彼女は、暫く考えてからまた笑って言いました。
「・・・・人がせっかく遠ざけたのにね」
「だから、なんなの!?」
「私、あなたのことも嫌いになたわ・・・・・」
その時の、声。目は見えなかった。顔とか、私後ろ向いてたから全然判らなかったんですが、
ゾワリと私の首筋に鳥肌が立つのと同じタイミングでしがみついてた友達の身体も震えたのだから、想像がつきます。
それからおもむろに彼女はゆったりと部屋から荷物を取って、最初に彼女の怖い顔を見た私と同じように
硬直した友人と私をゆったりと覗き込んで部屋を出て行きました・・・・・・。
玄関に、最後にかじって食べ終わった骨付き肉の残骸を投げつけて!!!
続く