[天井の四隅]
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背後には誰もいない。貞子のようなものでも現われたらどうしようかなどと思っていた私は胸をなで下ろした。しかし。
トイレの扉、その下から、誰かの足が見えるのだ。佇んでいる。はっきりと見えた。
赤いマニキュア、おそらくは女性であった。私は恐ろしさのあまりに声も出ず、立ちつくしたまま震えた。
しばらくして、私にこの話題を振った友人を憎んだ。
力が抜けてその場にへたり込み、死んでしまうのだろうかと思いながら、年甲斐もなく膝を抱えて泣いた。
何分そうしていたかもわからない。もしかしたら小一時間は過ぎていたかも知れない。
拒絶のあまり顔を伏せていた私は、ゆっくりと顔を上げた。しゃがんでいるせいで近くに見える扉の隙間からは、何も見えなかった。
それでも出るのが怖かった。戸を開けた瞬間に、何かがあったらと思うと、一晩ここで過ごすのも悪くないとさえ思った。
しかし私はトイレの水を流し、勢いづけて扉を開いた。外には、何もいない。
急いで寝室に戻り部屋の電気を点ける。すると、風が通り抜けた。窓が開いていたのだ。
帰ってきたときは明らかに閉じていたはずだ。湿度の高い空間で、私は冷や汗を流した。

そのあとは怖かったので電気つけたまま寝ました。泥棒には思えなかったんですが、幽霊だったのかも謎。
もう夜中に便所行くのも無理です…。これを教えてくれた友人に連絡をとってみたんですが、繋がらないので…。
彼女に何か悪い事が合って云々、なんてベタなことあるはずないよな…なんて思いながらも少しビビってます。
無駄に長くなってすいませんでした。

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