[川岸の女の子]

俺の子供の頃の話。
鹿児島県の川沿いのすごい小さい村(町まで車で1時間弱程)に住んでたんだ。
小学生の頃俺らは子供同士では夏場を中心に川で遊ぶことが多かったんだけど、
時々同じ年位の可愛い女の子が裸で泳いでるんだよ。名前も学年もわからなかったけれど、多分同じ年だった。
小学校は村の小さな校舎に通うか、町まで通うか(バスを使えば遅刻ぎみではあるが通えるようだった)だったんだが、
女の子はどっちにも行っていないみたいだった。少なくとも俺の通ってた村の学校にはいなかった。

女の子はどうも頭がおかしかったみたいで、家もわからなかった。
と、いうより、村の人同士顔見知りなので、家くらいわかるもんなんだけど、女の子は家に住んではいなさそうで、誰に養われているのかも解らなかった。
まあ時々白髪頭で破れた服を着てるお婆さんは見掛けたかな。
あとビニールテントがあったようななかったような…覚えてないし、子供だったから、あっても意識しなかったと思う。

親はあんまりその辺では遊ぶなっていってたけど、裸でいるわけだから、見に行ったし、時々一緒に遊んだよ。喋れないみたいだったけど。
ある日友達のAが(ここでは詳しくは書かないけどw)女の子にちょっかい出してたんだ。

A以外の奴は昼飯食いに家に戻った後、また集まるみたくなって、一旦家に帰った。
そしたら俺は急激に眠くなって夕方まで寝ちゃったんだけど、夜になるとAが家に戻らないって騒ぎになってるの。
その時は全く関係性なんて考えもしなかったけど、Aは帰ってこなかった。水難て事になったけど、遺体とかは発見されなかった

その女の子は夏になるとよく見掛けるんだよね。そういえば、冬は見なかった気がする。

その翌年の夏に、こっそりと夜中に家を抜け出して肝試しやろうって話になったんだ。

こなかった奴も2人いたけど、親に見つかったんだろうと思って、3人・2人に別れて交代に山を回って帰って来た。
先に3人の方がちょっと青い顔して帰ってきたんだけど、俺ら2人が出発する前に、親が懐中電灯もって探しに来たんだ。(1年前のAの事もあったしな。)

でも俺ら2人も行ってきたかったから、3人には先に帰ってもらって、俺らも肝試しに出発した。

暫くした後、あの女の子のいる辺りを歩いてるときにガサゴソと音がした。

女の子がシャベルで地面掘ってて、老婆は叫びながら木に何か打ち付けてた。
間違ってライトを顔にあてちゃったんだけど、2人ともこの世の物とは思えない顔で目見開いてんだけど、どこか悲壮感が漂ってたのも覚えてるわ。
暗かったし、ライトは逆行でこっちの顔は見られなかったみたいで必死に走って振り切った。

戻ると、元々来てなかった2人が行方不明って話になってた。
先に回った3人は音が聞こえて怖くなって帰って来たから、見ていなかった。

2人は結局戻ってこなくて、俺の家族は片方の祖母の住んでる茨城に1週間後に引っ越した。

親に女の子の話しても知らないの一点張り。子供だから教えてもらえなかったけど事実が知りたい。

今連絡つく友達は肝試し中に一緒に目撃した奴だけ。そいつから噂を聞く所によると、
あれ以来女の子はいなくなって、掘ってた所からは靴が3足出てきたらしい…


先週、久しぶりに2人で村に帰ってみた。

もうダムの底だったよ。

もし、20年前のこの話を知ってり人がいたら教えてください。


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