[空き缶]

Aさんが家で寝ていると、外から

からーん ころころころ・・・

という空き缶を転がす音がする。

Aさんは「こんな夜中に缶を蹴って歩いているなんて、どこの酔っ払いだ?」と思うが、
特に何もせずに放っておく。ところが、この

からーん ころころころ・・・

という音は、いつまでたっても鳴り止まない。

からーん ころころころ・・・

音の主は、どうやらAさんの家の前を往復しているようだ。

堪忍袋の緒が切れたAさんは、この酔っ払いを注意しようとして家の扉を開け、外に出る。

そこで見たものは。

見渡す限り一直線に並べられた、無数の空き缶の列だったそうな。

びっくりしたAさんは、家族を起こしに戻る。

が、再度見てみると、その空き缶は跡形もなかった。


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