[手紙]
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そこで手紙の内容は終了していました。
管理人の話では、今A子さん達が住んでいる部屋は
この手紙の送り主であろう女性の両親が住んでいた部屋だったのです‥‥
‥20年前に書かれた‥?であろうこの手紙が現実に届くなんて‥ありえません‥。
A子さんは図書館に走りました。
そして20年前の新聞を手当たりしだい読み漁りそして発見しました。
20年前に千葉の某駅の入り口で恋人と待ち合わせていたであろう女性が、
酔払い運転の暴走車にひき逃げされ、ちょうど待ち合わせの時間に
居合わせた彼がすぐに救急車を呼んだのも空しく彼女は即死だったそうです‥‥。
A子さんはこの事故の件を管理人に話すと
この事件を知っていた管理人は遠い目をしながらこう話したそうです。
この夫妻の娘は黒髪がとても綺麗で腰近くまであるロングヘアーで、漆黒のような黒髪もあいまって
「やまとなでしこ」という言葉がぴったりのとても清楚できれいな女性だったそうで
両親も娘の結婚を楽しみにしていたそうです。
しかしこの事件で娘を失った○○夫妻は、娘が死んだ土地にいるのはさすがにつらいという事で
夫の実家である地方の田舎に引っ越していったそうです。

現実に存在するはずもない手紙になんともいえない違和感を感じながらも、いたたまれなくなったA子さんは
この手紙田舎にいる両親に送ろうかとも思いましたが過去のつらい思い出をぶり返させてしまうのも忍びないと思い
あるお寺の住職に渡して供養してもらう事にしました。お寺の住職に手紙を渡し終え、
心の中で手を合わせて女性の冥福を祈りました。
そしてA子さんは千葉に帰るために地下鉄のホームで電車を待つことにしました。

時間帯がよかったのか待っている人はだれもおらず、
一人でベンチのような腰掛に座って晩御飯のおかずどうしようなんて
たあいもない事を考えていると地下鉄に列車が入ってくるのを
知らせるアナウンスが鳴り響きゴゴゴゴーと列車がやってきました。
腰掛を離れ、誰もいないホームで黄色線に足を運ぶとふと階段方向から懐かしい声がしました。
声の主は学生時代の親友のN子でした。しかしN子の顔色がなんとも優れないのです。
体の調子が悪いのかなぁと思いながらも久しぶりの再会ということで、というより
N子の強い押しもあって電車には乗らず駅の中にある喫茶店でお茶でも飲もうという事になりました。

懐かしさのあまり2人は時間がたつのも忘れて卒業してからの事や付き合ってる男性の事などを話しました。
そして話題もつきるとA子は不思議な手紙の件をN子に話しました。
するとただでさえないN子の顔色がより一層真っ青になったのでした。

手紙の話しを聞いてしまったN子は言える筈もありませんでした。
先ほど駅のホームで乗り口に進入してくる列車に向かって
歩きだすA子の後ろに、やけに古い服装をして腰まである黒髪の女が
鬼のような形相で、A子をホーム下に落とそうとしている姿を‥‥‥


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