[無間地獄]

友人から聞いた話。
その友人が高校生だった頃、住んでたマンションのエレベータには幽霊が出るという噂が流れたそうです。
なぜそんな噂が流れたのかというと、あまりにも霊の目撃者や怪奇現象を体験した人が多過ぎたから。
マンションの住人はみなそれぞれ恐ろしい体験をしていたのですが、最初は気のせいだと他人に話すのも気が引けると
各個人で口を噤んでいたのですが、ひとたび世間話が始まると「あなたもですか?」「わたしもです」
といったように多くの住人が同じような体験をしていることを打明け始めたのです。
突然エレベータが止まったかと思うと、エレベーターの天井になにかが落ちる音が聞こえたり、
電気が物凄い速さで点滅を繰り返したり、中にはドアが開いた瞬間に自分以外だれもいない中から誰かが勢い良く
出ていったり、とりあえず尋常なエレベーターではなく、しだいに利用する住人も減っていき、多くの住人は階段を利用するようになりました。
しかし、心霊写真など糞くらえだった友人は自分の家が7階にあったこともあってエレベーターを利用していました。
そんな彼にもついにとんでもない目に会う日がやってきたのです。

いつものように部活動を終え帰宅しようとエレベーターに乗りこんだ友人、心霊現象の云々などという戯言はとっくに頭の隅から
消え去っていました。そんな中エレベーターのドアは閉まり友人を乗せて7階を目指します。
何をするでもなくぼーっとつっ立っていた彼の視界に異様なものが映りました。
ちょうど目線の先に何かが垂れ下がっているのです。
良く見るとそれは長い髪の毛で、目で辿っていくとそれはどうやら天井の換気扇から垂れ下がっていました。
さすがにこれには平常心を失ってひきつってしまった彼をさらなる恐怖が襲います。
天井から女の死体がまるで生き物のように這い出してきて次の瞬間には友人の目の前に顔を突き出しました。
その顔は歪んでいて眼球は無く顎が捻れてひん曲がっていましたが、口元は嬉しそうに笑っていたそうです。
友人は恐怖のあまり凍りついて動けなくなりました。そうしている間も女はエレベーター内の壁を物凄い勢いで
這いずり回っていたそうです。
エレベーターが7階についてドアが開くと、それと同時にその女は勢いよく外に飛び出しそのまま回廊の手すりを乗り越えて
そのまま落ちていくように消えてしまいました。
友人は後日、女は飛び降り自殺を建物が無くならない限り永遠に繰り返すのだとということを悟ったようです。


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