[コンビニのモニター]
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いざ本棚へ到着してみて、二人は首をかしげた。
そこには誰もいなかったのだ。
おかしい。絶対挟み撃ちにしたのに…。

すると、トイレのほうから水を流す音が聞こえてきた。

何だ、トイレに入っていたのか。

おかしな人だな、と思いつつ、二人はすぐバックルームへと戻った。


しかしモニターを見て、二人は初めてぞっとした。
さっきと全く変わらない立ち位置で、女の人が本棚を見つめていたのだ。

早い。早すぎる。

トイレからそこへ向かうのと、バックルームへ戻るのとでは、
明らかにこっちの方が早いはずなのだ。

しかも、なんで同じ格好で本棚に向かってるんだ?


もしかして、モニターの故障では。
顔を見合わせ、頷きあって二人はもう一度、バックルームから挟み撃ちの隊形で
本棚へと向かった。

すると、また女の人はいない。

冷や汗がにじむのを感じながら、今度は何も言わずに二人はバックルームへと戻った。


無言で、しかし真っ先にモニターを確認する。

「あ、いなくなってるぞ…」

先輩が呟いた通り、モニターからは女の人の姿は消えていた。
後輩の心中にほっとしたものが広がる。
よく確認しようと、先輩の横に顔を乗り出した。その時。

「待て、動くな」

続く