[山小屋の老婆]

記憶ウロ覚えでスマソが、昔聞いた話を書かせて貰います。

昔、バブルで社会がハジけてた時の話。
ある男が、仕事に成功して物凄く儲けた。莫大な金を手に入れ、気分もハイテンションだった。
だがバブル崩壊の時期が訪れてしまい、一気に男は貧乏になってしまった。家でちゃんとした生活をする余裕もなく、仕事もリストラされ、車や家具はほとんど売り払った。
しかし暫くすると、食いつないでいく食料もなにもかもなくなった。おまけに多額の借金まで背負った。
もう生きる気力を無くし、男は自殺するため山を登った。
夕暮れ。カラスの鳴き声が響き渡り、午前は空気が清々しく光の差し込む山も、暗く鬱蒼とした雰囲気に包まれ光は一切遮断された。自殺するために来た男だったが、時間が経つにつれ恐怖心が生まれてきた。いや、死ぬんだ!!と思うも、やはりすぐに恐怖心に掻き消されてしまう
とうとう、男は自殺という考えを消した。 そして生き延びるため、人を探し始める。だが自分が今どの位置に居るかも分からず、途方に暮れていると一軒の小屋を見つけた。
相当古いものなのか、かなり年季がはいっていた。男は一目散に小屋へ駆け寄った
「すいません!!」 中には老婆が居た。痩せこけており、けれど優しく男を迎えた
「泊まっていくがいいぞぇ」 男は老婆に感謝した。床を与えてもらい、男は眠りについた...
男は明け方、目が覚めた。何やら囲炉裏の方で紙の擦れる音がするのだ
「(なんだ?婆さんか?)」 疑問を抱きながら、そっとボロイ扉の隙間から様子を伺う。すると。
老婆が、不気味な笑顔を貼り付けながら何十枚もあるお札を数えていた
「(かっ‥金だ!!)」 男の視線はお札に釘付けになり、ふとよからぬ考えが頭を過ぎる。あれだけあれば、十分に生活が出来る‥‥
問答を繰り返し、結局は1つの答えに男は行き着いてしまった。
「!?あっ、あぁお前さんかい。早いねぇ」 慌ててお金を隠そうとする老婆を押さえつけ、手のうちのお札をもぎ取る。
抵抗する老婆を殺し、お金を全て回収すると急いで山を下った。
幸い外は明るい為、道に迷うことは無かった

それから何年かした後。男はまた、借金を背負い、生きていけなくなってしまった。途方にくれ、再びあの山に登った。自殺するために
‥しかし、また恐怖が男を襲った。怖い。男は、生きることを決意した。生きるため、山をさまよった。人を探しながら。すると、小屋を見つけた。男は喜んで駆け寄り、扉を開ける
「すいません!!誰か居ませんか!?」 男が部屋を見渡す。真ん中の辺りに、ごろりと何かが寝転がっていた
「?」 不思議に思い近づく。それは、人のようだった
「あのー?何かあったんですか?」 寝てるのか、ピクリとも動かない。気付けば、腐ったような臭いがしてきた
「え‥?」 奇妙に思い始め、後ずさる‥‥が。転がっていたソレが、男の足を掴む
「ひっ」 どろりと腐肉とともに流れ落ちる白髪を引きずりながら、ソレは男に言い放つ

「お前が殺したんだろう!!!!!!」


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