[探し物]

ぼくの話をします。
ぼくは一般の人に比べて、霊的なものには敏感なほうなんです。
ある時の学校の帰りに死ぬほど後悔する体験をしました。
自宅付近には生まれる前から幽霊屋敷的な家がありました。
ぼく自身はたまに何かいるのを感じる程度でした。
ある日その家が取り壊される事が決まり、しばらくすると更地になりました。
そしてあの日がきました。
学校帰りの夜9時頃、その更地に裸足のちょっと髪の乱れた白い服の女性が、
何かを探す様にしゃがんで居たんです。
そのとき確実に人じゃないとぼくの直感は感じました。
しかし、なんか話したらネタになるかも。なんてバカな気を起こし近づいて
行きました。すると女性はやはり何かを探してたらしく、「く・・が無い、
く・・が無い」と呟いていました。はっきり聞き取れなかったぼくは女性が
裸足なので、靴さがしてるんですか?と尋ねてみた。だが返事はなく女性は
顔を上げ、物凄い形相でぼくを睨みつけて煙のようにその場から消え去って
しまいました。ぼくは少し拍子抜けした感じだったが、その場を離れまっすぐ
帰る事にしました。すると前から声がしたので一瞬ビビリながら前を見ると、
普通の女性がこっちに向かい歩いてるだけでした。
安心して、その女性とすれ違うその瞬間に後悔しました。
女性はぼくの真横か過ぎた位で一度立ち止まり、ぼくに向かって言いました。
「くしだよ!」と。聞き取れなかった言葉は靴ではなく、くしだったのです。
急いで振り返っても女性の影もなにもなかったです。その後は死に物狂いで
走って帰宅しました。


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