[懐かしい音]

私がまだ小学生の頃の話です。我が家は庭に母屋と隠居があり、
今は亡き私のお婆ちゃんは一人隠居で暮らしていました。
もう80歳を超えていたので腰は曲がり、必ず杖をついてコツコツと歩いていました。
そして夜、私が布団に入っていると数日に一度その音は聞こえてきました。
午前0時をとっくに回っている時間に窓の外の石で作られた歩道を
特徴のあるコツコツ、ザァッザァッというお婆ちゃんの歩く音が聞こえるのです。
お婆ちゃんは草履を好んで履いていたため足音も地面をするようなザァッザァッという感じで特徴的でした。
その足音は私の寝ている部屋の前を通り玄関の前まで行くとぱったりと消えてしまい、戻ってくる音は聞こえませんでした。
なんとなくお婆ちゃんが歩いているんだろうと思ってはいましたが、恐怖心もあり確認することはできなかったんだろうと思います。
そしてお婆ちゃんも含め家族にもその話は一度もしませんでした。
お婆ちゃんが亡くなり真相を聞くことはできませんがあの音は今でもはっきり覚えています。
そしてお婆ちゃんが亡くなった後、一度だけその音を聞きました。
恐怖とかはあまり感じずただ懐かしい感じがしました。
今思うとお婆ちゃんは私たちと一緒に寝たかったのかな?なんて思ったりもします。

長文&怖くない話ですいません。


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