[廃病院の斧]
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車の中で待つと言った私を残し、さっそくDとEは懐中電灯を持って車を降りて病院入り口へ歩いていった。
真っ暗な山道にポツンと停まる車、
シーンとした車内に1人。
私はひどくおびえていた。もしかして、3人であの病院に入るより1人で車内にいるほうが恐ろしく怖いんじゃないか?
どうせあの得体の知れない気配がある2階には行かないんだ、絶対そのほうが1人よりいい。
1人ぼっちにされてみて私ははじめてそう思った。
「D、E!!待って!」私は車から降りて、まだ視界にあった2人を追いかけた。
「やっぱ1人は怖い。ついていくけど…お願いやからちょっと見たらすぐ帰ろうな!!」
「わかってるって」Eは頷いた。

やはりこの病院の中は異様な雰囲気だ。気温は27℃はありそうな感じだが鳥肌がおさまらない。
ましてやここで怖い思いをしたあとだ。前に来た時以上の恐怖感が私を襲う。
相変わらずDとEは楽しそうだ。

階段の、あと3,4段で2階というところまできた。DとEは2階の廊下を覗く。
「確かにこれはヤバイ感じ」「めちゃくちゃ怖いな…」さすがに2人も、この不気味な雰囲気に少しビビったようだ。
そのとき私は2階のほうは見なかった。2階のあの気配を感じることすら嫌だったからだ。
「もういいやろ、帰るで」私は2人を急かすと、2人は素直に「うん」と言った。完全にビビってしまってるようだ。
1階へ降りる時、階段の踊り場で私は2人に言った。「この中のオノをBが持って帰ろうとしたんや」
Eは言った。「へー。このオノか…。見た感じも、確かに気持ち悪いなあ…」
「…え?」

私は恐る恐る踊り場の壁を見た。
壁に埋め込まれたケースの中に、あのオノが、ある…。
Dが震える声で言った。「ちょっと待って…だってさっき、オノは帰り道に崖へ投げ捨てたって…?」
それからのことはあまり覚えていない。
夢中で車に飛び乗り、気付いたらEの家で3人で震えていた。

これで終わりです。
オノを見た瞬間は心臓麻痺の一歩手前だったんじゃないかな、というぐらいビビりました。
怖がりな私はあの後1ヶ月くらいは昼間でも1人でいることができないくらい、精神がやられました。
長文の上に読みにくい駄文で大変失礼しました。


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