[生首?)]

年上の友人Mさんの話。

田舎の夏の夕暮れ。

知人の家でもらった西瓜を白い風呂敷に包んで、自転車の前のカゴに
のせ、そこに入りきらない不安定な西瓜を落とさないように
自転車を押しながらMさんは家路を歩いていた。

ふと前から白髪の老婆が歩いてきてMさんの自転車カゴの西瓜を
じっと見つめ

「あら おはんな生首をつんじょいがね どげんしたと」
 (あなたは生首を積んでるじゃないか どうしたの)

と言って通り過ぎて行った。

ボケたばあさんだろうとMさんは思ったが、風呂敷に包まれた
西瓜が気持ちが気持ち悪くなった。

(もってかえりたくない)

Mさんはそのまま西瓜をあぜ道に捨ててしまったという。

夕暮れのあぜ道にぽつんと捨てられた白い風呂敷の西瓜。

たぶん白い風呂敷が悪かったんだろうけど、生首だと言われ
生首に思えてきたMさんの気持ちや、捨てられた西瓜の無気味さ、
それをまた発見する人の心境などリアルに想像して怖かった小話。


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