[帰宅]

これは漏れが大学一年の五月の話。
親しいヤツにしか話した事がないんだが・・・

地方から出てきて、大学に入り一ヶ月くらい。
まだ殆ど友達もおらず、授業が終わると即効でアパートに帰ってた。
とまぁ、ここまではよくある話。

ある日の夕方、チャイムも鳴らさず漏れの部屋に入ろうとするヤツがいる。
慌ててキーチェーンをして、直ぐに布団に潜って息を潜めてた。
のぞき窓から確認すれば良かったんだが、何故かイヤな予感がして
それはやらなかった。
翌日も同じような時間に入ろうとするヤツが来た。勿論、同じように
キーチェーンをして、布団に潜り込んだ。同じくイヤな予感がしたから。
またその翌日も、その次の日も、同じようにやってくる。
さすがに気味が悪くなってきたころ、持ち電話がなった。

「おい、K!Kだろ??あれ?」
Kとは漏れの名字と似ているが違う名字。
相手「お前何他人のそぶりしてんだよ」
漏れ「いや、あの、●●といいますが・・」
相手「なんだ、まぁいいや」ガチャ
その少し後、またドアがガチャガチャ。そのときは、更にイヤな予感がした。
漏れの部屋は一階の道路側で、いつもカーテンを閉めてたんだが、その
カーテンのすき間から誰かがみてる。「マズイ」と思った瞬間、そいつと目が
あった。誰かに似てる?
それから数日、ドアは開けられそうな事はなかった。
忘れかけそうになってたある日、キーチェーンをせずに、鍵だけかけて
部屋にいた。突然、鍵を開ける音が聞こえ、ドアが開いた。
うわ、入って来やがったと思って、武器になりそうなものを手に取り玄関へ。
漏れは凍りついた。

そいつはまぎれもなく、漏れだった。
暫く会話したのだが、内容は良く覚えていない。ただ、その後、あいつは
来なくなった。一体、なんだったんだろう。未だによく解らない。


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