[身代わり?]
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話は変わるけどその当時は
ほぼ全教科出されたプリント・宿題は満点が当たり前だったんよ。
特に国語、漢字を良く知っていたからあだ名が「漢字博士」だった。
そんな俺は当然勉強の面ではまわりを格下と決め付けてて、変なプライド持ってた。
いつも俺より成績下だった奴をちゃかしてたら、ある国語のプリントでは形勢逆転。
本当に「大したことないくせに威張っちゃってよ ボケ」なんてキツイ一言突きつけられたもんだから
まったくその通りなんだけどその時の俺には我慢ならなくて、
俺は何故か、そこにあったオルガンを思いっきり揺らして、噴火したんだわ。
先生が飛んできたときには時すでに遅し、オルガンは俺の足の親指に倒れてきた。
そのときは無意識に回避したからまだ良かったものの、あの時避けるのが遅れていたら
大惨事は免れられなかったんじゃないかな。

ここまでならまぁ良くある突発的な事故的みたいなもんなんだが、先生に連れられて家に帰ったとき驚いたんだ。
何せいつも元気良く走り回ってたアイツ、目の前で足がちぎれて死んでんだもん。
その時はグロ耐性の無かった俺は、その光景のエグさと悲しさがこみ上げて来て大泣きした。
結局そのちぎれた足はどこ行ったかわからずじまい。
それからしばらく親指の爪は全部めくれて、エグいことになってて、松葉杖ついてて歩いてたんだけど
回復も早くて、1ヶ月ほどでまた普通に体育もこなせるようになったんだ。
あの時、回避が遅かったら、もう一生体育なんて出来なかったんだと思うよ。


ああ、あいつのウンコをチョコと勘違いして喰ったこととかあったな。今となっては懐かしいな。

こうして書いてると、あいつへの謝罪の念がこみ上げてきた。
俺があれくらいでキレなかったら。

アイツが死ぬこともなかった。

もう、足がちぎれてた時点で、ああ、あいつが助けてくれたんだなって直感的にわかったけどね。

だけどあいつは自分を犠牲にしてまで俺の命を救ってくれたんだから
その分精一杯生きなきゃって思ったね。もう自殺なんて考えない。


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