[3人目のおばさん]

でも、よく考えてみたらその不幸顔のおばさんはあの場で一言もしゃべってないわけ。
一言もしゃべらずに、ただじーっと、相談してるおばさんの方を見ている。

ん?

相談してるおばさんの連れで、占い師のアドバイスを一緒に聞いてるなら、
占い師の方を見るはずだよな…。なんで、おそらく自分の連れの、
相談してる側のおばさんの顔を見てたんだろ…?

しかも、もうひとつおかしいことに、あの占い師のおばさんも、相談してるおばさんも、
どっちも、あの3人目のおばさんのことを全然見てなかった。
まるで、目に見えない存在であるかのように…。

で、思ったんだけど…
あの3人目のおばさんって、実は人間じゃなかったんじゃないかって。
そして、占い師のおばさんも占い師ではなくて霊能者だったのかも。
あの「あなた、自分でも気づいてるんでしょう?」という謎の台詞は、
「あなた、自分に憑いてるモノに気づいてるんでしょう?」
という意味だったんじゃないか?
もしその想像が当たってるなら、あの3人目のおばさんは一体なんだったのか。
異様な背の高さと、見たこともないような暗い顔をしたあのおばさんは、
幽霊っていう感じではなかった。幽霊って少なくとも姿は人間でしょ?
あのおばさんの異様な背の高さと暗い顔は、人間っぽくはなかった。
たぶん、いわゆる「貧乏神」とかそんな類のやつだったんじゃないかとなんとなく思う。

なんか書いてみたら全くの想像というか妄想にすぎないな。
しかも怖くなくてごめん。

でも、あのおばさんのものすごく暗い顔は、今でも異常に脳裏に焼きついてるんだ。

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