[あいつだ!]

いきなりだが失礼する。
これは先日彼女をバイクで送った時の話だ。
本当に恐ろしくて、考えるのも嫌だがここに書くとしよう…。

その日は彼女のバイトが夜の0時に終わった。
人気のない道を彼女を後ろにのせ、走っていた。
深夜だが、小さな街灯はあり、見渡しはいい。
とある踏み切りを通り過ぎたときだ。
彼女が後ろで何度も振り返っているのがわかった。
どうしたんだと思いながらも、彼女の家はもう見えてるので俺はあえて何も聞かなかった。       
彼女の家につき、家の前で彼女を降ろすと、彼女は不思議そうな顔をしている。『どないした?』
『うん…さっき踏み切りにいた女の人、こんなに寒いのに薄着で、なんか気味が悪かったよね…』
俺はぞっとしたね。
あの見通しがいい踏み切りに人を見落とすわけがない。
しかも…その踏み切りはつい二日前に事故があったばかりだ。
聞いた話では、貧血で倒れてそのままホームから転落したとか…。

俺は恐ろしくて帰りは別の道をとおり、無事帰路についた。

…だが、恐怖はそれだけではとどまらなかった。

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