[狐憑き]

小学校の時、担任の先生から聞いた話。
簡潔に言えば、いわゆる「狐憑き」体験記なんだけど。

その先生(以後K先生)が大学生の頃の夏休み。
暇を持て余しているK先生(男)と、その友人O(男)と友人A(女)と3人で、
K県K市のとある稲荷神社に胆だめしに行こうぜ!って事になったらしい。

で、夜遅く、3人で神社内をぐるりと回ったけど、何も起こらない。
だが、その内に紅一点のAが「もう帰ろうよ」って言い出したと。
男2人も、怖くは無かったがAの不安げな様子が気になって、帰る事にしたそうだ。

しかし出口の鳥居に向かうにつれ、Aの顔色がどんどん悪くなっていく。
「大丈夫か?」と心配しながら、Aを支えて歩く男ふたり。

出口の鳥居をくぐろうとした瞬間、Aはとうとうしゃがみこんでしまった。
で、下向いて「寒い寒い」って言いながら自分の肩をさすってる。
冒頭で言った通り、夏休み。当然ながら寒いわけがない。なんか変だ。
起こそうとしても立ち上がらないし、K先生とOは困り果ててしまったそうだ。

その内にAが、「寒い寒い寒い寒い寒い寒い」ってすごい早口で言いながら、
ノースリーブの肩をさすっている手がどんどんスピード上げていく。
しかも爪立ててボリボリボリボリ掻き毟ってる状態だから、二の腕から血が出てきて、
あまりにその様子が怪しいからさすがにK先生とOも怖くなって、無理やり
半ば引きずるようにしてAを家まで送り、その日は解散したんだと。

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