[おばあさんの墓参り]

 小学生の姪っ子に「怖い話知らない?」と聞いたら教えてくれた話。

 学校の帰り道に墓地のあるお寺があって、そこに毎朝
五時頃に、お墓を拝みに来てるお婆さんがいたんだって。
 多分死んだお爺さんか誰かのお墓。
 そのお墓は墓地の真ん中にある大きな木の下にある墓
だったそうです。

 ほいで、とある休みの日、墓地に
すごい大勢の人が集まっていたんやと。
警察やら何やら来てて話を盗み聞きすると
誰かが墓地の大きな木で首を吊って自殺したらしいと。

 発見したのは寺の住職。
 首を吊っていたのはそのお婆さんの息子であったと。
息子と言っても、もういい年をした男の人で、
ノイローゼか何かで自殺したらしいです。

 首を吊って死んだのは前の日の夜中遅く。
住職が朝六時ごろに墓地の掃除に回る時、首吊り
死体を発見し、仰天して警察に通報したそうです。

 ところがお婆さんはその日もちゃんと墓参りに行ってたんだって。
いつものとおり朝五時にはお墓に行って供え物を代えて、
お水をかけて線香をあげて、昨日一日の話を仏様にする。

 お婆さんは腰が曲がっていて、自分の拝む目の前の墓の
真上にぶら下がる自分の息子に全く気づかなかったそうです。

 いつものとおり朝五時にお婆さんはお墓に行って…。

「そいでねー、その事を警察の人に教えられた
 お婆さんは気が狂って運ばれていったんだってー」

 姪っ子は、そう話を締めくくるとクリクリとした目で
こちらを見つめ、朗らかに笑った後、向こうに走っていきました。

以上です。

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