[遮断機の音]

今年大学に入ってから親元を離れて一人暮らしをしている。
もう四ヶ月たち、誰とも会話のない一人だけのの生活にも慣れた。
夜、電灯を消したアパートの一室で布団に横たわり睡魔が訪れるのを待つ。
何も考えずただ薄い闇を見つめていると、遠くから遮断機の音が聴こえてくる。
寝静まった町に郷愁を掻き毟るような音が鳴り響く。
カァンカァンカァンカァンカァンカァンカァン………。
この辺には踏切りはない。
そもそも電車の走る時間ではない。
心なしか初めて聞いた時よりも音が近づいてきているような気がする。
最近は早く寝るように心がけている。

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