[夏合宿の夜]

別に死ぬほどな怖い話じゃないけど、思い出したので一つ。
私が高校1年のとき、ダンス部に入ってたんです。
この部活の教員が女の人だったんですけど、
とにかく気に入らない部員は自分から退部するまでなじる人でした。
かくいう私も三ヶ月で泣きながら辞めました。orz

で、夏には地獄の合宿があったんです。確か、長野だったかな。
一日目、バスで着いたら即効着替えてダンス練習です。
昼ごろついて即効ですから5、6時間ぶっ続けで踊るんです。
お風呂、夕食は一日目ですから皆はしゃいで楽しく過ぎました。
寝る前にミーティングで明日の課題を言われて、自分たちの部屋へ帰ります。
部屋からミーティング室まで離れてまして、しばらく外を歩くんです。
その途中、私とは違う部屋の部員の1年生のこたちがおじさんに何か聞かれてました。
「?」と思ったんですが、さっきの課題のおさらいがしたかったのでそのまま部屋に帰りました。

そのおじさんは結構髪は黒くて(不自然だったから白髪染め?)背が175くらい。
ちょっと中年太りのお腹が浴衣からぽっこりしてる体系で、50歳くらいでした。
なんかニタニタしてて生理的に嫌いなかんじでした。

とりあえず部屋に帰ってきた私は鏡の前でおさらいをしました。
しばらくして先輩たちも帰ってきて寝る前に少しおしゃべりをしました。
真っ暗がだめな人がいたので薄暗がりの中、布団でウトウトしていると今日の疲れもあり
いつの間にか眠りに入っていました。

ふと目が覚めたとき、先輩たちが携帯を片手に何やら騒いでいました。
寝起きで私は状況がよく分からずしばらく寝ぼけた頭でボーッとしていました。
先輩の一人はしきりに「今から先生が来る」と言っていました。
先輩は先生が来る前に携帯をカバンにしまって(うちの学校は携帯禁止)真剣な面持ちで待機してました。
少ししてコンコンとドアをノックして本当に先生が入ってきました。
先生は「今さっき、○○(違う部屋の先輩)のところに不審な男の人が入ってきたらしいの。
あんたたち、部屋の戸締りをしっかりして1年生を見ててあげて!」
それを聞いた瞬間血の気が引きました。同時に小さい悲鳴をあげてる私がいました。
まるでここで有名な下男がリアルに現れたような恐怖でした。

違う部屋の先輩を仮にR先輩とします。
R先輩とその部屋の部員たちは頭を部屋の真ん中に向けて川の字で寝ていたそうです。
部員は7人。ふとR先輩は夜中に外の些細な音で目が覚めたそうです。
その部屋はは防寒用に作られた部屋のために締め切っているととても暑かったので窓を開けていました。
小枝と枯葉が擦れて折れる音が近寄ってくるのでR先輩はじっと窓側を見ていたそうです。
すると薄っすらと夜の黒とは違った影が覗いていました。ですが、すぐに通り過ぎたので
R先輩は「感じ悪いなぁ。こんな夜中に」くらいにしか思わなかったそうです。
5分位したでしょうか。またあの影が窓を通りました。しかし、今度は窓に足をかけて入ってきたのです。
流石に肝が据わってると言われるR先輩ですが、それには正直ビビッたようで声が出ませんでした。
黒い男はゆっくり音を立てないように静かにR先輩の近くに寄ってきました。
そしてR先輩と一年生の間に入るように添い寝をしてきたのです。
状況が状況なだけに、先輩はしばらくジッとしていました。
男が添い寝している一年生はうちの部で一番可愛いこでした。
男はそのこを覗き込んでいました。R先輩も落ち着いてきたので
男の頭をつかみ「誰!?」と大声で叫びました。他の部員も起きだしました。
部員たちの悲鳴が聞こえた瞬間男は窓から逃げて行ったそうです。

私たちはたたき起こされた後、荷物をまとめて大きな部屋に移りました。
夜が明けて、夏合宿は中断で二日目には皆家へ帰りました。
帰りのバスで私の隣はあの覗き込まれていた女の子でした。
彼女は爆睡していて何も覚えてないようです。
部員の皆も私も彼女の首に小さな内出血があることは口にしませんでした。

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