[安っぽい人形]
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私は飛び出していく両親に部屋にいるよう言われ、震えながら眠りました。
翌日、幼馴染の家は半分以上焼け落ちていました。
学校に行くと、早速火事のことが伝えられ明日からカンパを募るので
よろしくと連絡されました。
幼馴染は普通に登校していましたが、やはりみんな遠慮気味でした。
「火事の原因はなんだったんだろう?」さすがに聞けませんでした。
しかし、幼馴染は自分から事情を話し出したのです。
「人形が親父に見つかっちゃった。『どこから持ってきた!!』とすごい剣幕で
怒鳴ったの。私は貰ってきたと言ったのに親父はいきなりキレだして
火をつけて床にぶん投げた」
『人形』の単語に私は背筋に冷たいものを感じました。
「えっ!?じゃあそれが原因!?」
「まさか、すぐに火は消えたけど、顔が丸焼けたのでそのまま捨てちゃった。
…ゴメンね?」
私は無言で首をぶんぶん振りました。
彼女のお父さんはすぐカッとなる人らしく、今までも物に当たったり火を
つけたりすることがあったそうです。
今回の火事も火の不始末が原因。

私の部屋に置いてあった人形。
右から聞こえてきた呪文、右側の顔の炎症、顔が熱い、焼かれた人形の顔。
なにかが繋がってるようで怖かったです。
ちなみに彼女はそこを引越し今は普通の高校に通っているそうで
とても元気です。
私はその一件以来、さらに怖がりになりました。が、彼女は
いまだに趣味のシルバニアを集めているようです。

長文、失礼いたしました。


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