[正夢]

これは、ある友達が僕らクラス中に相談をしてきた内容です。明らかにその友達が真面目な顔をしていたので、本当だと思います。
これは、その友達がクラスの友達に配っていた手紙の全文です。

”僕は、よく正夢を見ます。
夢で人が死んだりすると、次の日の朝TVをつけると、本当に「○○さん死去」みたいなニュースが流れて驚きます。
まるで、夢の続きをそのまま生きていっているような・・・。

その正夢、最近までは、夢の中にその死ぬ人が登場するだけ、とか、その人の歌がずっと流れ続けたりとか、間接的な感じでその人が死んだということを伝えていました。(何回も見るので、もうそれだけで分かるようになりました)

しかし、なぜだか分かりませんが、最近、不思議に、はっきり夢を見るようになりました。
この間から、カップルが口論していて、女性側が逆上して、ナイフで刺殺している夢だとか、山手線で自殺をした夢だとか・・・。
ええ、芸能人などではない人の夢も見るようになりました。朝は本当に気分が悪いです。(遺体の姿をおもいだすと・・・)
これらは、確認は出来ませんが、今までの正夢の感覚と同じ感じですので、本当に起こっていると思います。

僕は、このような変な能力(能力なのか?)をもって、非常にいやです。
毎日眠るのがつらいんです。ホントです。誰も信じてくれないとは思いますが。(友達にだって笑われるんです。)


ここから先は、思い出したくもありませんが、昨日見た夢の話です。

夕方なのだろう。赤い光が、窓から差し込んでいる。
僕は今、なぜだか僕の部屋にいる。隣には、兄が寝ている。
そこでふと、場所が変わる。(なぜ変わったかはわからない)
風呂場の前に立っている。夕方なのは変わらない。あたりを見渡すと、どこからか声がする。声にならない、排水溝に水を流すときのような「ヴァァァ」というような声。風呂場からだ。
僕の家の風呂場は横にスライドさせるスタイルのもので、濁ったガラスみたいなドアで、少し透けて見えるようになっているんです。
僕は開ける前に目を凝らしてガラスの上から見てみました。すると、小さい影と大きい影が見えました。たぶん父と母だ。
さらに、何をしているのかとジッと目を凝らしました。
僕はゾッとしました。父が湯船に向かって、母の顔をうずめているのです。
「うわぁ・・・ぁ・・・あ・・・」
僕は腰を落とすと、なぜ父が?という思いをどこか片隅に持ちながら、もしかしたら僕も・・ということも考え、足を引きずるように上へ逃げました。
兄がいる。兄ならこの状況を説明してくれる、という期待感を持って上へ逃げました。

階段を上りきる直前、頭だけ階段から出たときです。兄の足が床から浮いていて、足の先から血やらなにやらいろいろな液体が混じって滴っていました。僕はそれより上は見ないようにしました。 

僕は気付きました。これは、夢なんだ。さめれば終わる。さめれば終わるんだ。
階段の下から声がする。
「お〜い、○○〜。ちょっとこっちこい」

もう終わりだと思いました。涙が溢れてきて、足はがくがく震えていました。

‐ここで目がさめました。ここでさめたと言うか、ここより先の記憶が無いからかも知れない。

一応、今日はこういう事態は起きていません。
しかし、あれが正夢である以上、僕の家族がこういう事態になることは間違いないです。

最期に。

誰か、助けてください。”
ここで友達の手紙は終わっています。その友達は、多くの人に証人になってもらいたいから、と、ここに載せるのを許可してくれました。
友達いわく、「僕が死んだら、僕が本当に正夢を見れる」ということを証明してもらいたいそうです。
なんとも物騒なことをいっていますが、あいつのあの真面目な顔を見たら、僕も心配になってきています。

次の話

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