[ストーカー転じて]

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Kの姿は消えていた。体も言う事を聞いてくれた。
「・・・・なんなんだよ・・・・。」と言いながら
ドアにもたれ崩れる。するとドアの向こうから
「ムカつく」と言う声がはっきり聞こえた。
「なんなんだよもう・・・・!」と思いながらドアを開けた。誰もいない。
これが1月頃の話。これから一か月くらいは地獄だった。


分かりました。
次の日、彼女にこんな事話して不安にさせるわけにもいかず、
一番信頼できる人、彼女の父親(オーナー)にこの事を話した。
「夢じゃないのか?」僕は「あれは夢じゃないですね。」と言った。
オーナーは「んーー・・・。」と困った顔をしていた。
それを見て、「まぁ、もう大丈夫だと思いますよ。うん。大丈夫です。」と
話を終わりにした。
それから5日後、休日だった僕は深夜、走りに出かけた。
10
キロくらい軽く走って、そろそろ折り返そうかと思っていると、
急に背中を蹴られたような衝撃が走って、僕は前のめりに手をついた。
「誰だ?」と思って後ろを振り返ると、誰もいない。
というか人気のないところだ。だれもいるはずがない。

「・・・?」と思って前を見ると、10メートルくらい先に、小柄な男が立っていた.
「こいつじゃないよな・・?」と思いつつも
ここを早く離れようと思い、その男に声をかけた。
「あの、なんか変な男がこの辺りいるみたいなんで、早く離れましょう。」
反応がない。心なしかすこし揺れている。
「あの・・・」と近寄るとその男はドラッグでキまったような顔をしている。
片目がほとんど閉じて片目が半開きで白目を向いている。
さすがにギョッとした。僕はそのままその男を通りすぎて走った。
すると急に左腕をとんでもない力でにぎられた。振り向くとさっきの男がいる。
ものすごく痛い。腕が握りつぶされそうだった。

「なんだよ・・・!はなしてください・・・!」男は反応がない。表情も変わらない。
僕はやむを得ずその男の脇腹に蹴りを入れた。
男は「ぎぁぁぁぁぁぁ!!」と叫んで脇腹を押さえて倒れ
足を狂ったようにバタバタさせている。「まずい」と思い
「すいません!大丈夫ですか!?」と近づくとまた強烈な力で、
左腕の同じ箇所を握りつけてくる。僕はびっくりしたと同時に
その男を右手で殴りつけた。男は言葉にならないような叫び声をあげ倒れる。
「なんなんだよもう!!」と思いながら猛スピードで走って逃げた。
気がおかしくなりそうだった。


腕をつかんできた男から逃げてマンションにようやく戻ってきた。
部屋に戻り「クソ・・・・」と言いながらベッドに倒れこむ。
気を紛らわそうと思い、彼女に電話して気を紛らわせようとした。
幸いまだ起きていて、しばらく話した。
話していると、またトイレからゴボゴボゴボッと音がして、
ドアを強烈な力で叩く音がした。「何の音!?」彼女が驚いている。
「・・・変な奴がいるのかも。ゴメンまた後で掛け直すから.」といった。
「ちょっとやだ危ないって!!鍵かけて部屋でいなよ!」彼女がいうが、
「大丈夫。」といって切った。もちろん大丈夫じゃない。

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