[ばりばり
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そこへ向かってがむしゃらに走った。確かめてはいないが、すぐ後ろにばりばりがいるってことが
何となく分かった。しかも自分より速い。50Mもしないうちに追いつかれるような勢いだった。
もうここからは感覚というものがほとんど無かった。ただ走って、門が見えて、それを全身で
這うようにして登った。最後は転がり込むように門の外へ身を投げ出した。

「助かった。今度こそ」
そう思った。わけもなく。ただ絶対自分は助かったという安心感があった。
私は視線を外から学校へと向けた。ばりばりとの距離がどれだけ縮まっていたのか確かめておき
たかった。振り向いた瞬間、私は再び肝を冷やした。

ばりばりとの距離は無きに等しかった。もう目と鼻の先にあいつがいた。私の頭蓋骨を両手で
掴みとらんとばかりにこれでもかと伸ばした状態で固まっていた。
そしてあいつはこう言った。

「今度は殺せると思ったのに」

そこで私は目が覚めた。
当然のごとく全身は汗びっしょり軽くめまいすらした。

起きて私がした行動は、この夢を忘れないようにノートにメモを取ること。あまりにも
怖い夢だったので後で誰かに話したかったのだ。
しかしメモなんて滅多にしたことないのですぐにノートは見つからなかった。
本棚の奥にあった古びたノートをやっと見つけ、開いた瞬間また私は絶句した。

”ばりばりばりばりばりばりばりばりばりばりばりばり”

ノートの最後のページには確かにそう書いてあった。私は恐怖のあまりしばらく動けなかった。
一度目の夢はほとんど記憶にないが、わりと楽に逃げ切れた気がする。
二度目は今話した通りだ。
でも三度目は・・・考えただけでぞっとする。
はっきりいって今度またあの夢を見たら逃げ切れる自信はない。
もし今後、新聞かなにかで”寝たまま死んでしまった人”なんて記事があったら、
それはもしかしたら私かもしれない。絶対そんなことはおきてほしくないけど。


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