[断末魔]

 こないだ散歩してたときの話。

その日は母が買い物に行くって言うんで、自分と母と愛犬で連れ立って歩いてた。
30分ほど歩きよく散歩で通る、ちょっとした高級住宅地に入ったとき―――
突然、おばさんのものと思しき断末魔のような悲鳴が聞こえてきたんすよ。

ちょうど逢魔が刻ってやつで休日だったこともあり、直前まで周りには人っ子一人居なくて静かだった。
そう、周りには誰も居なかったんよ。
だから当然どっかの家から聞こえてきたんだと思ったんだけど、それにしてはあまりにも近くでおばさんの悲鳴が聞こえた。
しかも、驚いて立ち止まった自分を母と愛犬は不思議そうに見ている。
どうやら自分にしか聞こえなかったみたいだ。
近所では殺人事件があって犯人が見つからないとか変質者がよく出るとか言う話があったんで、かなりぞくりとしたけども。
よくよく考えてみたら被害者の方は若い女性でおばさんじゃないし、ふと今よく考えてみると本当におばさんの声だったのかも怪しい。
ちょっと前のことなのに、どんな声だったのか思い出せないのが更に気味悪くて、家に帰ってからちょっと怖くなったです_| ̄|○

因みに、町内会会長やってる母に、その後何か事件がなかったか聞いたけども、空き巣に入られたうちはあっても人的被害はなかったそうなので、
本当の事件現場のそばを通ったということもなさそうです。
あれはなんだったんだろう……


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