[雪山]

夜。
男は目覚めた。男は風景写真家で、この雪山には三日前から助手と一緒に撮影に来ていた。
ふと男は気づいた。昨日の記憶がない。正確には昨日の朝から……
覚えているのは一面に広がる白。雪崩……?そうだ、俺は雪崩に飲み込まれて……
そして男は辺りを見回す。山小屋の中に助手の姿はなかった。
男は胸騒ぎを覚え、外に出た。山小屋の脇に、そこだけ不自然に雪が盛り上がっている
所があった。男はそこを掘り返す。
そこにあったのは助手の死体だった。彼も雪崩に巻き込まれたのかもしれない。
男は死体に向かって手を合わせ、とりあえず死体を山小屋の中に入れると眠りについた。
次の夜。
男は目覚めた。一日寝てしまったのだろうか?昨日の記憶が全くなかった。
男は山小屋の中を見渡した。昨日確かに置いた場所に助手の死体はなかった。
外へ出ると、やはり死体は昨日と同じ場所に埋めてあった。男はもう一度死体を掘り起こす。
さらに次の夜。
再び目覚めると助手の姿はない。再び元の場所に埋められた死体を掘り起こし部屋に戻すと、
男は一体誰がこんな真似をしたのかを知るためにビデオカメラを設置して眠りについた。
そして次の夜。
やはり助手の死体は埋められていた。男はビデオカメラを再生した。
そこに納められていたのは起きあがり、自分の横の檜山の死体を運び出す自分自身の姿だった……

 

※ガイシュツな話とはちと違います


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