[危険な肝試し]

 それは蒸し暑いある夏の日の出来事だった。俺は当時工房。1ヶ月という長い休みを満喫すべく、毎日のように友達の家へ転がり込んでいた。
そんな中、俺は友達の家で肝試しをしようと提案した。友達たちはそれを快く引き受けた。一人づつ家から500bほど離れた神社の賽銭箱付近に鉛筆をおいて来て、最後の奴が回収してくるといったルールに決定した。

…順番が決まった。俺を含めて4人、男だらけの肝試しが始まった。おれは3番目だ。何しろ前々からこの神社の恐ろしい話しは聞いている。夜な夜な泣き声が聞こえたり、謎の発光物の目撃があったり。俺は言い出しっぺながら怖くて仕方なかった。

今まで感じた怖さとは一味も二味も違う、正に背筋が凍るという言葉が相応しい。先に行っていた奴らが帰ってきた。2人とも半泣きだ。「女が…!!白い女が!!」2人声を揃える。4人目の奴が「なんかヤバい気がする、やめとこう」と言った。

引くに引けなかった。俺は意地で足を動かした。家とは明らかに違う空気。生暖かいようで身も凍る冷たさ。闇にとける静寂の中で、確実に何かが近づいて来るのを感じた。それは俺のすぐ背後に感じた。…『帰れ』かすかに耳元で聞こえたと思った瞬間、もう俺の意識はなかった。

次の日目覚めたら4人目の奴が取り憑かれたように狂ってしまった(詳しく聞けなかったので詳細不明)らしく、友人のおばさんの知人の紹介で4人そろってお祓いをうけてきた。それからは生半可な気持ちで肝試しなんかするものじゃない…と恐怖に震える日々を過ごした。

 


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