[ 嘘から出たまこと]

 今から十数年前の話。
俺は小学校二年生で、超いたずら好きの悪がきだった。
で、俺は新しい、いたずらをと考え、軽い気持ちで言ったのだ。
トイレに口裂け女みたいな、女の人がいたと。

その時は皆「えっーー」ってくらい。
だが、次の休み時間には女子がトイレが怖くていけない
と騒ぎ出した。
給食時間には、トイレにいけないと泣き出す女の子が
出てきた。
帰りの頃には、「ギャー女の人がいた!!」と騒ぐ男子
まで出てきた。
帰りの会の時間には先生の引率付きでトイレに行き
先生が「そんな者はいません!!」とヒステリックに叫んで
いた。

次の日、もう半分忘れかけていたのに、話は学年を超え学校中
に広まっていた。なんと学校にパトカーまで来ていた。
トイレは先生の引率が学校中で行われるようになった。

その日の午後、緊急の全校集会が開かれ、校長が、変なうわさが
あるが、それは髪の長い先生がたまたま職員用のトイレを
使わずに小学生用のトイレを使ったのでとの、わかるような
わからないような説明があった。
その全校集会を契機に次第にその話は聞かなくなった。

そしてつい最近の話、小学生の頃から付き合っている友達と飲む
機会があった。なぜかその話を思い出し、みんなゴメンと酒の
肴にするつもりで当時のことを白状した。

みんなは「えっ!?、口裂け女?なんの話?」とわからない
様子。俺は、わざわざ詳細に説明するのは恥ずかしかったが、説明
した。友人たちは一様に「それ違うんじゃね」と否定した。
わけがわからなくなり、俺は友人たちに当時何があったのか聞いた。
友人たちが言うには、当時皆が恐れたのはトイレの大に入るとドアを
ノックさらる。トントンと。無視しているとどこからかじっとりと
した視線を感じる。ふと上をみるとトイレのドアの上から髪の長い
女が覗いているのに恐怖していたらしいのだ。
パトカーが来たのは、その女に首を絞められた女子生徒が気絶したから
事情徴収したのだと。


次の話

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