[返せ]

僕が高校生の時の話しです。

夏休みに、友人Sの家に泊まりに行きました。
たしか時間は夜の11時ぐらいだったと思います。
Sの家に着くとSが深刻な顔をして迎え入れてくれました。
僕が「どしたの?」と聞くと、Sは首をかしげながら「まぁちょっと来て」
それで、なんだろ?と思いながらついていくと、Sの弟の部屋の前で立ち止まりました。
Sがドアをノックしたら、中から

「うわぁぁ!…誰?!」

Sがドアを開けると中には、Sの弟Tと、その友人が5人程。輪になって固まったまま僕ら二人を見つめてます。なぜか輪の真ん中には木の枝が見えます。
全員僕の中学時代の後輩でした。
その異様な雰囲気に興味がわき、「おまいらどしたの?」と僕。
T達に詳しく聞いてみると〇〇寺に胆だめしに行ってて見たと言うのです。

見たのは6人全員。

6人で寺の中を携帯の明かりを頼りに散策して、さぁ帰るぞって時に、一人が、
「うわっ!うわぁぁぁ!!」
と絶叫、残りの奴がそいつの見てる方をみると。
道の真横の壁の上に『兵隊さん』が立ってたそうです。
しかも一人だけだと思ったら、その横にズラーっと足だけが列んでたんだそうです。
最初は僕もこいつらふざけてるんだな?とか思いながら聞いてました。
が、涙ながらに語る彼らを見て、嘘じゃ無いのか?
と思ってた矢先にどこからともなく

『ザッザッザッザッザッザッザッザッザッ…ザッ』

全員キョロキョロ
なんだ?今の音?!おまいらも聞こえたのか?!と言いたそうな顔

しかしすぐに

『ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!ザッ。!ザッ!ザッ!ザッ!ザッ…ザッ!!』

その場にいた全員が凍りつきました。2回目ははっきり廊下側から聞こえたんです。
6人は耳を塞いで、口々に『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…』
念仏の様にわめいてます。
僕もしっかり話を聞いた後だったんで半泣きです。

『ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!ザッ。!ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!』

何がなんだかよくわからないまま、とにかく僕もSも手を合わせて祈りました。

続く