[気づいて]

三年くらい前の話

当時バイトしていた俺は、その日も仕事をしてた。
閉店の時間になり、いつものように仲間達とダラダラ掃除やら後片付けやらしていた。

大体片付け終わり、仲間達とジュースを飲みながら話しをしていたら、仲間の一人が言った。
「怖い話しようよ」


その時店には五、六人の仲間がいたのだが、みんな集まって各々が聞いた怪談や都市伝説などを語りあった。

小一時間程そうしているうちに、気になることを思い出した。
姉も同じ店でバイトをしており、その姉から聞いたのだが、俺がその店に来る前に自殺した人がいたらしい。その事を仲間に聞いてみたかったのだ。

「ねぇ、前に自殺した人の事教えてよ」


途端に仲間達の表情が曇った。
聞いちゃいけなかったかな…?と思ったが、何人かはその人と親しかったようで、色々と話してくれた。

それは俺が店に来る少し前の事だったらしい。

聞いた話によると、自殺した人は男性で、学校でのいじめを苦に自殺したとか。

店から何人か葬式にも行ったようで、その時に仏をみた友達によると首吊りだった、唇も真っ赤だった、という事だった。

自殺した本人とは会った事もないが、あまりにリアルな話を聞いてガクブルだった。

時計を見るともう23時を過ぎている。
そろそろ帰るべ、と帰ろうとする仲間達。


その時だった

『ボンッ!!』

いきなりシェイクマシンが爆発した。辺りに飛び散るシェイク。シェイクマシンの電源は既に切ってあったのに…。

あまりに突然の事に店内は静まりかえった。

暫しの静寂の後、先輩が言った。
「ひょっとして…」
「あいつ今ここにいるんじゃね?」



みんな一斉に青くなった。
速攻、みんなで床を掃除して逃げるように店を後にした。

以後、仲間内でその話はタブーになった。


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